ロスジェネの逆襲 / 池井戸潤

f:id:asmsuechan:20210112220906j:plain

読みながら書いた感想等をちょっとまとめたやつの放流

あらすじ書くのむずい。

あらすじ

東京中央銀行から子会社の東京セントラル証券に出向になった半沢直樹は売上3000億円を超えるIT企業である電脳雑技集団の社長平山から東京スパイラルを敵対的買収したいともちかけられる。しかしこの案件は複数の思惑により親会社の銀行に奪われてしまい、半沢の地位が危うくなってしまう。そして半沢は東京スパイラルのアドバイザーを引き受け、自らの地位を顧みず部下の森山と共に東京スパイラルの買収を阻止しようとする。

感想

今回もいつも通り半沢直樹がいじめられながら敵の不正を暴き快刀乱麻する話。今回はIT企業の話だからいつもより実感ある話かな?と思ったけど規模が大きすぎてそんな事はなかった。でも枝葉の話としてある、サンフランシスコのECサイトやってるベンチャーのくだりとかプログラミング学んで起業したとかの話は結構実感あったし、文中の印象が実感と逸れるところもなかったので良かった。

「ロスジェネの逆襲」で半沢直樹シリーズは3作目になる。この巻は2012年単行本発売らしいのでもう9年も経ってて、その間にドラマが出てそのおかげで知名度が一気に上がったらしい。私はドラマ見てないけど。最近半沢直樹シリーズ読んでいるが、会話が多く登場人物もしっかり書かれているのでとても読みやすい。前作と全前作は一気読みして気付いたら朝になってたくらい。この半沢直樹シリーズがやたら人気なのは、悪役を正論で打ち負かす半沢直樹に感情移入することで正義に酔えるからだと思う。人間は正義を掲げて安全な位置から他者を攻撃する事に快感を覚える哀れな生き物である。

登場人物は、冷静に正論を言う主人公と感情的な敵役で綺麗に分かれている。倫理と感情を無視した正論は正しくないが、半沢直樹はバランスを取った(読者が気持ちいい塩梅で)キャラクターに思う。よくできた小説だ。 しかし感情的になってしまった人間は結論を決めてしまっていて敗北を受け入れることが出来なくなりがちので、半沢直樹のセリフが終わるまで割り込むことなくおとなしく聞いている敵役は物分りが良すぎるなと思う。ちゃんと負けてくれる。現実だとここの登場人物の1/3くらいは暴動沙汰起こす気がする。現実だと全てがグチャグチャになって終わりそうだが、小説だからこのくらいがちょうどいい。

最後の方で、会社の買収は現代の侵略戦争であると言われてるけど、本当にそうだと思う。相手の資産や人員を取り込んで自分の会社を大きくする、陣取りゲームのような感じ。こういう表現を見るともっと会社とか資金とかについて知識を増やしたくも思うし、知れたら社会人として見る目が変わりそうにも思う。読んでる途中、日経新聞読んでみようかと何回か思った(読まない)。