アマチュア三段跳選手、30歳シーズンの振り返り

10月25日の日大競技会で今シーズンの試合が全て終わったので去年の冬季からの1年間を振り返ってみます。なんとなくこの1年が陸上競技を続ける上で転期かと思ったため書き記しておきます。

前提

  • 趣味でやってるアマチュア三段跳選手
  • 選手としてはだいぶ弱い方
  • 高3の時に出した自己ベストが12m94cmなので13mに乗せて終わりたい
  • 20歳から27歳まで陸上競技をしてなかった
  • 角山貴之さんの元で指導を受けている
  • メインの活動場所は角山さんがやっているLIF三段跳クラブ
  • 仕事はフルリモート、家のかなり近所にトラック有り (トラックの近くに引っ越した)

総括

この1年間で中3が高1になるくらいのレベルの成長はできたと思います。今年になって体のベースがだいぶ整ったおかげでやっと陸上競技のスタートラインに立った感覚です。

記録で言うとまず100mは10月に自己ベストが出ました。11.89秒でした。三段跳は12m48cmなのでまだまだですが、もっと伸びる感触はあります。

1年間のbefore-after動画

試合の動画が去年で、練習の動画が今年です。助走が圧倒的によくなりました。

良かったこと

  • (1) 冬季かなり追い込めた
  • (2) 接骨院に毎週通った
  • (3) 助走がだいぶ良くなった
  • (4) 100mはベストが出た
  • (5) パーソナルコーチングなどを多めにお願いした
  • (6) ケア道具やトレーニング器具にお金をつかった
  • (7) 大学の競技会に参加するようになった
  • (8) 細かい陸上の常識が身についてきた

それぞれ振り返ってきます。

(1) 冬季かなり追い込めた

もう本当にめちゃくちゃ走りました。2024年-2025年になる冬シーズンは350-200-100の2セットと200x5の2セットをメインにして走り込みました。タイムとしては350mが48秒、200mが30秒、100mが15秒、という塩梅でした。なお100mウォークですぐスタート、セット間のレストは15分から20分取っていました。タイム的には350mで結構飛ばしてますね。

ちなみに350mなのは、利用していたのが300mトラックで、一番外のレーンを走ると344mになるためでした。一番外のレーンをちょっと長く走って350mにしています。

200mは32秒x5を目標にしてやってました。結構しんどかったです。前述のように300mトラックなので200m走って100mウォーク後すぐスタート、でサクッとやってました。本当にサクッとやる時の時間配分は、移動5分アップ20分メニュー20分の45分という感じです。

他にはウエイト+坂ダッシュみたいなメニューとかウエイト+パワーマックスみたいなメニューをよくやってました。

練習頻度は最低週5で、10月11月は週6でやってました。今自分の練習記録を確認してびっくりしました。すげえやってたんやな俺。

一番辛かった練習はパワーマックスのミドルパワーです。あの自転車、お手軽ケツワレ装置すぎる・・・

(2) 接骨院に毎週通った

去年の冬から接骨院 (ケッズ鍼灸接骨院中野) に週1〜2回通っています。元々、2年前の春にかなりひどい右足首の捻挫をしてから可動域がだいぶ狭くなっていたのを治すためでした。治療のおかげで、当初は右足首が全然前に倒れず左右差がひどい状態でしたが、今はだいぶマシになりました。ただ、まだ痛むので治療は続けてもらいながら、体の他の箇所をほぐしてもらっています。

かなりいい投資で、これからも通おうと思っています。

(3) 助走がだいぶ良くなった

この1年での圧倒的に成長した要素は助走です。いろいろと改善ポイントはありましたが、助走の1歩目の押し方やリズムを掴んでからだいぶ改善したように思います。遊びで出た走幅跳なんかを見ても、いい助走ができていることが分かると思います。

(4) 100mはベストが出た

足ばっかり速くなっています。10月18日の東京スポーツ祭典で走った100mで11.89のPBを出しました。元々12秒フラットくらいでした。教わったスプリントドリルが全部繋がった走りをできたことで出せた記録と思います。

スタブロはほとんど教わってないし半年スタブロ触らずに試合に出たので、スタートがだいぶボロボロでかなり出遅れました。動画を見てスタートの出遅れ方がひどくて驚きました。スタブロが普通に蹴られれば11.5台に乗りそうな体感です。

ダッシュを完全にサボっており、9月くらいからスパイクでのダッシュを取り入れたらそれからいい効果が出たと感じています。スパイクを履いたダッシュは本当に大事ですね。

三段跳の助走に必要な走りは間違いなく向上しているという手応えを感じています。

(5) パーソナルコーチングなどを多めにお願いした

それはそう、という話ですがコーチにお金を払って指導してもらうと専門種目の技術力が圧倒的に向上します。私は参加している練習会コミュニティの合宿に3月8月と参加し、更に角山貴之さんにパーソナルコーチのお願いをして見てもらっていました。

動画を振り返って見るに、8月末くらいから跳躍が明らかに改善していました。まず大きな要因が、前述の助走です。角山さんからは、ある程度三段跳の形ができてからずっと助走のことを中心に改善点の指導をいただいていました。それが身についた結果の改善でした。できていなければできるまで何度も何度も辛抱強く言ってくださるので助かりました。

やってて良かった冬季の走り込み。

(6) ケア道具やトレーニング器具にお金をつかった

ケア道具として買って良かったのは、RUCOE RUNです。接骨院で当てるような電気刺激 (よりも強度は劣りますが) を家で当てられるグッズです。

走り過ぎてしんどい時なんかによく使っていました。左右ふくらはぎ10分ずつと左右太もも10分ずつの40分とかかけてます。

試合前日にやり過ぎて足に力が入りにくくなったことがあったので、そう言う場合には注意が必要です。

rucoe.net

レーニング道具としては、15kgのプレートやメディシンボールなどを買いました。メディシンボール投げ楽しいです。

(7) 大学の競技会に参加するようになった

これが一番の進化かもしれません。三段跳の試合を探すのに、大学の競技会をメインにするようになりました。このおかげで出られる試合の幅が大きく広がりました。今年は国士舘と日大の競技会に参加させてもらいました。運営をされている学生さんたち本当にありがとうございます。

なお三段跳は大学の競技会だと12m板からの跳躍になることがあり、自分は持ち記録的にちょっと厳しかったですが気合いで跳びました。

今年の6月以降は関東学生連合のこのサイトを見て年間の試合スケジュールを立てました。

www.iuau.jp

(8) 細かい陸上の常識が身についてきた

あんまり説明されないけど一定以上のレベルの選手は間違いなくやれていることなどが身についてきました。

例えば、ピーキングとテーパリング(いわゆる調整)です。私は調整として次のことを意識するようになりました。

  • 試合1週間前から練習量を落とす
  • 疲労度合いによっては試合5日前に重めで回数かなり少なめのウエイト (ピンスクワットとクリーン)
  • 試合2日前に接骨院
  • 試合前日は軽くドリルしてダッシュ数本

他にも、角山さんには食事面でも教えてもらったりと、アマチュアの私にもとても親身になってアドバイスをしていただきました。

反省点

  • (1) ウエイトをサボった
  • (2) 冬季からシーズンへの移行を間違えた
  • (3) 1試合目が遅かった
  • (4) 食べ過ぎていた
  • (5) 柔軟不足だった
  • (6) シーズン中の走り込み不足

こちらもそれぞれ反省していきます。

(1) ウエイトをサボった

ウエイト、頑張れませんでした。このくらいしか上がりません。

  • ベンチ: 70kg
  • スクワット: 105kg (でセット組んでるのでMAXは不明・・・)
  • クリーン: 72.5kg
  • デッドリフト: 120kg

特にクリーンはひどいですね。90kgくらい上げたいのですが、72.5kgから全然伸びませんでした。上半身のウエイトをサボりにサボっていたせいかと思うので、この冬季はウエイトも気合いを入れて継続しようと思います。

あと、補強も不足していたように思っております。もっとバランスよく全身を鍛えられるようにトラックに出たら少しでも補強を取り入れようと思います。

(2) 冬季からシーズンへの移行を間違えた

スパイクを履いたダッシュが遅れました。のんびりと5月くらいまで冬季の感覚でのらりくらりとやってしまっていました。

このせいで「速く動く」の感覚を掴めず秋になってしまっていました。この反省として、冬季はたまに沖縄に行ってスパイクを履いて走ろうと思っています。あとは3月に1試合100mを走ってみるのもいいかもしれません。

(3) 1試合目が遅かった

三段跳の1試合目が6月でした。本来は5月に1試合入れていたのですが、発熱のため断念。試合の探し方も良くなかったです。

シンプルに試行回数が少なくなってしまうので良くなかったと思います。来年は最低でも4月から試合を入れていこうと思います。

(4) 食べ過ぎていた

夏までパフォーマンス悪めだった原因はこれかもしれません。今振り返ると明らかに食べ過ぎでした。秋くらいから食生活を意識した結果、2ヶ月程度でかなり改善しました。

before

  • 体脂肪率12%↑
    • 体重は64kgくらい
  • 冬季に米を食べ過ぎていた
    • 基本は1食1合
    • 1食2合、1日で4合食べた日もあった
  • オリジン弁当を買う時も、ついもう1品追加して1食あたり1000kcalオーバー
    • 飲み物を入れると1200kcalくらい乗っていたかも
  • 自炊は少なめ

after

  • 体脂肪率11%↓
    • 体重は61kg↓
  • 米を控えめにした
  • 1食で飲み物入れて700kcal程度、タンパク質40g程度
  • コンビニでご飯を買うときは「3品以上600kcal以内タンパク質20g以上」を計算しながら買った
    • サラダとスープ系とメインのおかず、でだいたいこのくらい
  • フルーツを多めに食べる
  • 納豆をよく食べる

ほぼ必ずカロリーを見て食事を選ぶようにしました。カロリー以外はあんまり気にせずに食べてます。

量が少ないとお腹が空いて眠れない、とかの心配はあったのですが、大量のフルーツを食べることでなんとか回避しています。メロン、柿、ブドウ、キウイをよく食べていました。

さすがに30歳の素人が何も考えずに食事をすると体重は増えやすいですね。今後もこれは継続します。

(5) 柔軟不足だった

体が硬くて、様々な筋肉をうまく使えてなかったのだと思います。前屈はギリギリ指先が地面に付くくらいという状態でした。秋頃から風呂上がりに10分柔軟をしていたら、第3関節が付くくらいまで改善しました。これも100mのベストが出た要因の一つかなと想像しています。

(6) シーズン中の走り込み不足

シーズン中の走り方が分からず、全然やれませんでした。もっとスパイクを履いてガンガンダッシュを入れるべきだったのをサボって「200mテンポ走をちょっとスピード出してやる」くらいの温度感でしかやれておらず、シーズン中なのに劣化版冬季トレーニンのような状態ででした。

明らかにこれはよろしくなかったです。これのまずさに気づけたのは8月中旬とかだったので、かなり出遅れてしまいました。普段使っているトラックがスパイク禁止なのもちょっと痛かったです。シーズン中は 100mダッシュ3本 > 200テンポ走5本 だなと実感しました。

今年の冬に向けて

上記の反省を踏まえて、ざっくりした冬季の計画・方針をここに書き記しておきます。

  • コントロールテストを11月初旬と3月末に行う
    • 100m、400m、ベンチスクワットクリーンデッドリフト、パワーマックス?、メディシンボール投げフロントバック、立五段跳、助付五段、100mバウンディングくらいかな?
    • 100と400はこの前の試合の記録を使おう・・・
  • 最低週2は走る
    • メニューの選択肢は200x5x2、(350-200-100)x2、(200-100)x2、200x4、坂ダッシュ、くらいかなあ
    • 11月と3月は気温を見てスパイクでダッシュする
  • ウエイトを週3入れる
    • 苦手意識を克服するためにもとにかくやるしかない。ウエイトはやれば得!
  • 跳躍練習もちゃんと行う
  • 12月1月2月は沖縄に行ってスパイクで走る
    • 1泊2日で気合い入れて走る。既に12月と1月分は手配済みなので雨が降らないことを祈るばかり・・・2月はちょい長めに滞在予定。
  • 食事、体のメンテナンス等は今の方針を継続
  • 月1回パーソナルトレーニングをお願いする

十角館の殺人 / 綾辻行人

結局最後の答え合わせまで誰が犯人だったかは分からずじまい。人狼ゲームを見ている気持ちで読み進めることができていい本だった。

読み始めた当初は「登場人物の名前がニックネームだからキャラクターがいまいち思い浮かべにくい」と思っていた。しかしこれもトリックの一つで本土にいるはずの守須が角島にいることを読者に隠す役割だった。イマイチ本土の話が出てくる役割が分からなくて疑問だったのだが、ちゃんと大きな意味があって衝撃。まんまと騙されていた。

そもそもこの本の新鮮な点として、登場人物が全員推理していることにあった。ミステリ研究会という設定をうまく活かせておりよかった。全員が探偵役でその中の1人が犯人である、という構図。ワトソンくんも存在しない。全員が冷静に推理するも真犯人を暴けず次々と殺されていく、人狼そのもの。

ただやはりイマイチ名前の読みが独特だったり馴染みがなかったりで読む時に突っかかってしまいがちだった。江南をかわみなみと読むのに一瞬頭の中で変換作業が必要だった。

最初の半分くらいまで人が死ななくて展開が遅いな、と思ったのだが

「俺はな、人が殺されちまってから、あたふたと論理を組み立てるような名探偵どもは嫌いなんだ」

というセリフに全ての理由が詰まっているように思えた。ここもまた新鮮ポイントの1つであろう。

前半の大部分を状況説明やキャラクターの印象付けに割いているため、その後の事件パートや答え合わせパートは楽に頭に入ってきた。中弛みもなかったのでかなりいい構成だと言える。

割とお決まりかもしれないが、プロローグの瓶がエピローグでちゃんと回収され余韻を持ったラストとなっていたのも得点が高い。

面白かった。

AWSの本

1回目は通読。その時2回目に読み返したい部分をマークしておき2回目はそこ周辺をサクッと読む。3回目にノートにまとめる。4回目にこの記事を書く。

読んだ本

  • 改訂新版 徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト − アソシエイト教科書[SAA-C02]対応 徹底攻略シリーズ
  • AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル
  • AWSコンテナ設計・構築[本格]入門
  • AWSで実現するモダンアプリケーション入門 〜サーバーレス、コンテナ、マイクロサービスで何ができるのか
  • AWSではじめるクラウドセキュリティ: クラウドで学ぶセキュリティ設計/実装

学んだことメモ

  • Sagaパターンとは?
    • サービスにまたがったデータの整合性を維持するための分散トランザクションの仕組み。例えばECサービスでマイクロサービスが決済サービス、購入履歴サービス、ポイントサービス、に分かれていたとする。この時、ポイントサービスに問題があった時に他のサービスでも取り消し処理をする必要がある。コレオグラフィとオーケストレーションの2種類がある。
  • Saga (コレオグラフィ) とは?何を使えば実現できるか?
    • サービス間での協調を行わず、それぞれのサービスが処理をする。どこかが失敗したら補償トランザクションを呼び出すイベントを新たに発行する。例えばAmazon EventBridgeを使ってこれを実現する。
  • Sage (オーケストレーション) とは?何を使えば実現できるか?
    • オーケストレーたーが各サービスの結果を確認しながら順番に処理を進めていく方式。オートマトンのように、処理結果を状態としながら遷移していく。例えばAwS Step Functionsを使う。
  • 補償トランザクションとは?
    • 取り消し処理のこと。サービスごとに確定したデータを取り消すための処理。
  • Fargateのデメリットは?
    • コンテナごとにENIがアタッチされるため、デプロイしたコンテナが起動するまで時間がかかる。CPU/メモリに制限がある。割り当て可能なのは4vCPU、30GBメモリが最大。
  • Well-Architected フレームワークの5つの柱は?
    • 運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化
  • VPCエンドポイントとは?
  • Application AutoScaling の2つのポリシーとその特徴
    • ステップスケーリングポリシーとターゲット追跡スケーリングポリシー。ステップスケーリングポリシーはメトリクスを見ながら段階的にスケールイン・アウトができる。途中で別のイベントが発生しても応答してくれる。ターゲット追跡スケーリングポリシーはメトリクスの値を維持するようにスケールする。AWSが勝手にタスク量を調整してくれるので一番マネージド。スケールアウトは高速だがスケールインは緩やかに実行される。
  • パブリックサブネットがインターネットと通信するための設定
    • パブリックサブネットのルートテーブルに、デフォルトゲートウェイ(0.0.0.0/0)が宛先として指定された時にインターネットゲートウェイへ向けるルールを追加する。共通のルーティングテーブルを作って各パブリックサブネットに紐づけるようにするのがよい。
  • ECSタスクの起動時にコンテナに環境変数を差し込むには?
    • Secrets Managerに環境変数を入れ、ecsTaskExecutionRoleにsecretsmanager:GetSecretValueを持ったポリシーを紐づける。ECSのタスクエージェントがSecrets Managerと通信するためにはインターフェイスVPCエンドポイントが必要。

全体を通した学び

不安だったVPCなどのネットワーク周りやIAMの知識を補完できた。AWSで実現するモダンアプリケーション入門 以外ではVPCとIAMについて言及されていた。読みながらBlackBeltもぼちぼち見た。

IAMはもっとしっかり頭に入れておきたい。stsとかまだそこまで詳しく知らない。ここは手を動かしてみるのがいいかな。

結局「AWSの知識を身に付ける」という点については試験勉強をするのが一番手っ取り早い。でも実際に使える知識・技能を身に付けるにはマネコン触って0から構築するのがよさそう。それはそう、という話ではあるけど。

自分が知りたいのはアーキテクチャのパターンというよりも実際に問題に遭遇した時のデバッグ方法であるということに気づいた。例えばなぜかALBがコンテナと疎通しないときに確認する場所みたいな。こういうのは自分で手を動かさなければ分からないことが多い。

とにかく次のステップは手を動かすこと。

〔少女庭国〕/ 矢部 嵩

あらすじ

卒業式に向かう廊下を歩いていルト意識を失い、気づいたらドア2つと貼り紙のある他に何もない部屋に寝かされていた。貼り紙には「ドアを開けた部屋の数 - 死んだ卒業生の数 = 1となるよう人数調整せよ」と記されていた。つまり最後の1人になるまで卒業生の人数を減らさなければならない。部屋にある2つのドアのうち一方は開かず、もう一方は開く。開く方のドアを開けるとそこには面識のない女子生徒が眠っている。ドアは無限に続いており、誰一人として面識のある者はいない。無限に続く女子のみの卒業生たちはどのようにして未来を手にするのか。

感想

読むのは2回目。こういう思考実験的な話は結構好き。石の部屋の中に閉じ込められているのだけど、窓がない室内に閉じ込められたら早々に発狂しそう。

現実のものと捉えるよりも、人間がコンピューターシミュレーション上で精緻な実験をしている様子と思う方が辻褄が合う。実際、文章もレポートのような文体であり、誰かに提出するようなものに思える。

無限に続く1枚岩、扉をトリガーに時間が動き出す卒業生、どこからともなく照り続ける光、必ず子がつく名前。これらはどこかコンピューター的で、自然物を感じない。作り出された3D空間で演算されている、と思うとしっくりくる。

酸素はなぜ供給されているのだろうか。数億年経つと木も生えるものなのだろうか。水はどうやって入手しているのだろうか。疑問は尽きないし人間世界でないと考えた方がやはり自然か。

高度に発展した世代では、覚醒した人間の教育はどうやっているのだろうか?明らかに最初は受け入れ難いものだと思うのだが、どのタイミングで現状が受け入れられるのだろうか。内部で生まれるのであれば、最初からそういう常識であると教育すればいいのだが、目が覚めるパターンだとまずは常識を入れ替えるところから始まるので大変そう。と、思っていたらちゃんと記述があった。「体験による洗脳」とのこと。なるほど。

物語全体にどうしようもない閉塞感があった。これは卒業生の扉は永遠に続くこと、解放された後の描写はないことなどから感じられた。変に脱出後の様子が書かれていないことはとても点数が高い。

10月読んだ本

  • [小説] 吉原手引草
  • [小説] TUGUMI
  • [小説] 潔白
  • [小説] 改良
  • [小説] 芽むしり仔撃ち

吉原手引草 / 松井 今朝子

聞き取り形式の作品。

遊郭の説明を物語中に挟むと長くなるし浮きがちだけどここでは吉原に来たことないから説明してくれ、という体で進むので吉原や遊郭の説明が自然に溶け込んでいる。

聞き取り形式だが、何が起こったかはなかなか明かされない。みんな「ああ、あのことね…」みたいな反応。

本の70%くらいまで「葛城花魁がいなくなった」くらいの情報しか出ない。さすがに物語の進みが遅いと感じる。

潔白 / 青木俊

久しぶりに一気読みした。

死刑が既に執行されているが冤罪を主張する被告側と、再審を阻止する検察・裁判所の戦い。手に汗握る展開でダレることなく最後まで読めた。

改良 / 遠野遥

ヒビの入った鏡の前にいるような内面描写。芥川賞候補作というだけあってクオリティが高い。

美への憧憬と醜い欲望の対比。

美しさは欲求としてしか現れず、実際の人物や物としては出てこない。いつまでも手が届かない。

とにかく醜い。美しさを強く求めているのは自分と周囲が醜いから。

芽むしり仔撃ち / 大江健三郎

asmsuechan.hatenablog.com

漫画

DLSiteでジャンプ漫画60% OFFセールあっていたのでいろいろ買った。結局買ったのは

合計115冊。多い。

他にも新刊をチラホラKindleで買っている。

まとめ

今月のザ・ベストは・・・TUGUMI?潔白?改良?迷う。改良は好きだった。

芽むしり仔撃ち / 大江健三郎

あらすじ

感化院から疎開するも数々の村をタライ回しにされる少年たちの話。最終的にたどり着いた村では疫病が流行っており、村人は少年たちを捨てて隣の村へ避難する。束の間村の主となった少年たちは村人たちの家で暮らしていくことを考える。しかしすぐに村人は帰ってき、好き勝手に振る舞った少年たちを糾弾する。

こういう文学作品ってあらすじにあまり意味を感じない。ストーリーよりも文章そのものにある描写の精緻さや複数の文章から感じ取れる雰囲気が大きい。

あと細かいけど感化院が犯罪行為をした子供を収容する施設であるという前知識は必須のように思われる。最初は宗教団体かと思った。

感想

最初読み始めて感じたのは、少年たちの奇妙な一体感だった。これはかなりの頻度で「僕ら」という単語での描写があるためのように思う。イメージとしては同じ髪型同じ顔、同じ服装の少年たちがほとんど同じ行動をしているようなもの。

南や僕、弟、李、脱走兵などは区別できる個として書かれており、他の少年たちについては全て均一の振る舞いをしているように感じた。いわゆるただのモブなのだが、それ以上に少年たちの集団としての空気感を表すために使われているように思えた。

全体を通して思うのは、この小説は暴力に屈服する話だ、ということ。少年たちは暴力で自然界の生物を捕まえ、脱走兵は兵隊に屈服し、少年たちは村人に屈服する。そして人間は疫病の暴力に抗えない。全員が何かに怯えており、それを和らげるかのように暴力的になっている。また、度々ある暴力的な描写とそれを仕方ないと感じている描写に戦中の血なまぐさい空気を感じる。

内容は暴力的だし全体的にグロテスクな雰囲気が漂っているのだが、生の活力に溢れた作品だった。

9月読んだ本

  • [ノンフィクション] ダークウェブ・アンダーグラウンド
  • [小説] 家族八景
  • [漫画] 海が走るエンドロール
  • [小説] 神様のパズル
  • [小説] 本日は、お日柄もよく
  • [小説] 火のないところに煙は
  • [漫画] 黄泉のツガイ
  • [漫画] メイドインアビス
  • [小説] 星々の舟
  • [小説] 花まんま

ダークウェブ・アンダーグラウンド / 木澤佐登志

asmsuechan.hatenablog.com

家族八景 / 筒井康隆

asmsuechan.hatenablog.com

神様のパズル / 機本伸司

話のテンポがよくない。全然話が進まない。キャラクターの魅力もあまりない。作者が物理に詳しいことだけは分かった。とはいえ登場人物のほとんどが物理に詳しくなくてもよいのでは?いくら物理学科とはいえ。

うーん、イマイチキャラクターが定まってないなあ。主人公に感情移入できない。中学時代とかなら割と楽しく読めたかな。

Amazonのレビューを見ると理系の研究談義にやたらと心惹かれている人が多い模様。自分はそこに刺さらなかったから楽しめなかったかな。ただ、これは作者の力量不足だけど続きの作品は面白い、ってレビューあるから気になる。

本日は、お日柄もよく / 原田マハ

asmsuechan.hatenablog.com

火のないところに煙は / 芦沢央

読み終わったら間違いなく榊桔平でググりたくなる。

ジワジワ怖いジャパニーズホラーって感じで良かった。完成度高い。

星々の舟 / 村山由佳

asmsuechan.hatenablog.com

花まんま / 朱川 湊人

第133回直木賞受賞作。

幸福と不幸を表裏一体のものとしてグロテスクに描いている。水彩で描いたホラーみたいな小説。

喪失を話の骨子にしている。描写も物語もよく面白かった。

感想

やっとメイドインアビスを読んだ。黄金郷の描写長くない?海が走るエンドロールは「始めるならいつからでも遅くない」という気持ちにさせてくれるいい漫画。1巻はとてもよかったけど2巻以降は1巻ほどのよさはなかった。

神様のパズルは辛そうに読んでるのが分かる感じのメモが残ってて少し笑った。

今月のザ・ベストはやはり家族八景。今月どころじゃなくて10年前に読んだ時も面白かったけど。