グラスホッパー / 伊坂幸太郎

  • 読了日: 2022/05/10
  • 出版日: 2008/02/01

あらすじ

恋人を飲酒運転事故で殺された鈴木、殺した人の幻覚が見える殺し屋の鯨、操り人形のように言われるがまま人を殺す蝉、の3人の視点で話は進む。

恋人を飲酒運転で殺された鈴木は復讐のために犯人の父親が経営する非合法な会社に入社した。しかし犯人は押し屋に押されて轢き殺されてしまった。この鈴木が追った押し屋は槿という、只者ではない雰囲気を纏った男だった。槿は家族4人で暮らしており、鈴木には槿が悪人であると思えず組織への報告を拒否してしまう。

組織は鈴木を拉致し拷問して槿の居場所を吐かせようとするが、そこには殺した人の幻覚が見える殺し屋の鯨と操り人形のように言われるがまま人を殺す蝉が向かっていた。

感想

場面や行動の描写が多く、内面描写が少ない。確かに読みやすいしストーリーのうまさは感服するのだが、リアルな人間のドロドロとした内面を描写しているわけではないので物足りなさを感じた。

途中まで読んで、小説を読んでいるというよりかは映画を見ている時に近い感覚ことに気づいた。確かに伊坂幸太郎作品は映画がヒットするし面白い。描写の細かさが脚本に近いのかもしれない。

殺人者がメインに据えられている作品なのに人が死ぬ描写がやたらあっさりしていることがとても気になった。生き物はちょっとやそっとじゃ死ななくて、腹刺されたくらいだったら1分は反撃することができるという点が考慮されていない。このあっさりさも読みやすく一般人ウケする、つまりヒットしやすい作品の特徴なのかもしれない。個人的には最終的に登場人物全員死んで欲しかった。

復讐やら人殺しやら組織やら、ガンダムからロボ要素抜いて薄めたみたいなストーリーだな、と。以前(と言っても10年程前)は伊坂幸太郎作品をたまに読んでいて嫌いではなかったが、今は趣向が変わった模様。

INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント / マーティ・ケーガン

  • 読了日: 2022/05/07
  • 出版日: 2019/11/01

読み返したい部分

  • Chapter7: リーンとアジャイルを超えて
  • Chapter25: 製品ビジョンの減速
  • Chapter 31: 製品に関するエバンジェリズム
  • Chapter 39: 顧客発見プログラムのテクニック
  • Chapter 61: ステークホルダーを管理する
  • 第5部: 成功するための文化

読み返すときは↑のChapterとマーカー部分を読む。

どんな本か

「本書は、プロダクトマネージャーを対象にしたものだ。」と明言されている本。しっかりターゲットを明言してくれているのには好感がもてる。

書かれているのはPdMとして開発チーム(≠エンジニアチーム)を率いるための検証方法やチームについて。

「読んですぐ効く」類のテクニック紹介本ではなく、冒頭にも書かれているがPdMの役割を根本から説明している。なのでテクニックを紹介した本や記事と一緒に読むといいかもしれない。

読むと良さそうな人

ソフトウェア(ハードウェア)エンジニア、UI/UXデザイナーなどIT製品の開発に携わる人。

ただ、ある程度大きな組織(特にメガベンチャーなど)に属してアジャイルスクラムを駆使してIT製品を作っている人だと前提知識もある程度あるだろうし、読んで身になる本だと思う。つまり人が2人しかいないスタートアップみたいな組織だと書かれている原則はあまり有効ではない。このフェーズだともっと他の筋力の方が重要になってくる。

プロダクトマネージャーになるつもりがなくてもPdMと一緒に仕事をするのであれば知っておいたほうがいいことが書かれている。よいメンバーでいるためには他のロールの人を理解する必要がある。

まとめ

リーンやアジャイルを標榜するもMVPが待てど暮せどできないし売れるかもわからないような現場はままある。これはアジャイルではない。では優れた開発チームではどんな事をしているのか。これには3つの原理がある。(1)リスクは最初に潰す。売れるか?できるか?使えるか?法的に出せるか?など。(2)製品の定義とデザインを強調させて行う。(3)実装することではなく問題を解決することが大事。(Chapter7より)

「プログラミングの技術を身に付つけるのは、(中略)エンジニアとうまく関わり、エンジニアと協力する能力を大きく向上させるためである。」大事。これはエンジニア側にも言えて、リーダーシップやマネジメントを理解し歩み寄ることはチームで働く上で必要。よりよいメンバーであることは他のロールを理解することで生まれる。

製品ビジョンを考える上での原則(Chapter25)はプロダクトの未来を考えるうえで意識すべき項目がうまくまとまっている。ここは訳者後書きでも言及されていた。

Chapter31、「製品に関するエバンジェリズム」、モノづくりにおける夢のある話の大事さが書かれている。ここでまとめられている内容がPdMに重要な心構え概略、のように見える。ここを頭に入れるだけでもPdMとの関わり方は良いものになりそう。

Chapter39のリファレンスカスタマーの節、最初の協力的な顧客を見つけることについて書かれている。ここが成功すれば最初の軌道には乗りそう。「このプログラムのために4つか5つのリファレンスカスタマーを集めることにすら苦労しているなら、あなたはそれほど重要ではない問題を追いかけている可能性が高く、ほぼ確実にその製品の販売はうまくいかないだろう。」(Chapter39より) Burning needsの話がこれ。

「ある人をステークホルダーと見なすかどうかの実際的なテストの1つは、拒否権を持っているかどうか、言い換えれば、開発チームが仕事をスタートするのを妨げられるかどうかである。」Chapter61より。なるほどね。

第5部は良い開発チーム・悪い開発チームとは何かについて書かれている。多くは語らないが分量も少ないのでたまに読み返したい。良いチームの一員であるための自分の行動を考えるきっかけになる。

感想

「成功するプロダクトマネージャーは、飛び抜けて頭がよく、創造的で、粘り強い人間である。」って書いてあったのは笑った。一般的に相当優秀な人やんこれ。

今の自分のフェーズ的に、Part2のチームビルディング関連の話はあまり刺さらなかった。

本の文量について、もう少し短くまとめられるのでは?と思う。海外の(英語で書かれた)ビジネス書はくどいし長いしエッセンスがぼんやり散らばりがちだと思う。1度通して読むときにまた読みたい部分をメモ、そこは何度か読む。あとはネットで見つけた要約とか読書メモを読めば良さそう。通読は年1で十分。

有名な本なのでネットでいろんな人がエッセンスだと感じた部分を探すと吸収しやすそう。

自分が感じた最初に読んで感じたエッセンス: 「問題を発見したらとにかく早くユーザープロトタイプを作るかインタビューするか何かしてニーズを見極めるのが一番大事。データを集めればそれがそのまま説得力になる。」それはそうという感じだが、この本には左の「プロトタイプを作るかインタビューするか何かして」つまり事業実現性のテストの部分が詳しく説明してある。

最近の仕事で新規サービスのチームと関わっていたので刺さりどころが多かった本。「じゃあどう活かすか?」は複数回読んでから考えるところということで。

NHK出版 学びのきほん 自分ごとの政治学 / 中島 岳志

  • 著者: 中島 岳志
  • 読了日: 2022/05/01
  • 出版日: 2020/12/25

どんな本だったか

政治入門の薄い本。2時間以内に読み終わる。結論だけをざっくりまとめると「SNS等で政権批判をするよりも自分の身の回りで起こっている物事(野菜の値上げとかそういうの)を落ち着いて自分の頭で考える方が政治を考える上では有用」というもの。

まとめ

「我思う故に我あり」は、自分の存在の根拠が神ではなく自らの理性にあるという考えを元にしている。この考えの広まりによって、「理性の持ち主である国民こそが主権者だ」という思想が生まれフランス革命が起きた。これが国民国家の始まり。

左派はこの合理主義を信奉する人たちにより構成される。合理的な行動を続けることで世の中をより良くしていこうと前進させ続けようという考えの派閥。大きく分けると国家がこれを実現させるタイプと、権力に頼らず個人の力で平等社会を実現するタイプ。前者は共産主義社会民主主義が例として挙げられる。社民主義は投票で選ばれた代表者が富の再配分を行い貧しい人にも豊かさを与えるというシステムを目指している。後者の例は極端なものだとアナーキズム(無政府主義)が挙げられる。これは自立した個人によって運営されるコミューンさえあれば暮らしていけるという考え方。

では右派は何かというと、過去に重要な叡智があり、それは今よりも素晴らしいものであるため世の中を良くするためにはその状態を取り戻さねばならないという考えの派閥。右派にも2つの立場があって、右翼と保守がある。右翼は原理主義と言い換えが可能で、特定の過去に対する回帰の念が強いという特徴がある。例えば日本なら万葉の時代、あるいは天皇の大御心にすべてが包まれていた世界へ回帰しよう、国体を取り戻そう、という考え方がされる。右派はこのように理想社会を過去に見出し、左派は未来に向けて社会を進歩させようとする。

次に、保守は世の中の変化に合わせてゆっくり変化していくことが大切だと考える。理性は信用に足るものではなく、むしろ過去に培われた経験知などに重要な叡智がある。物事を一気に変えるのは理性に対する過信、うぬぼれである。ただ、状況は変化するのでその変化に合わせて徐々に改革することが重要になる。つまり保守するための改革が必要になってくる。

現在の左右の考え方は今までと違ってきていて、左派に合理性に対して懐疑的な意見を持つ人が増えてきている。なので最近では左右の違いにあまり大きな意味がなくなってきている。

お金をどう分配するかが政治の大きな役割の一つ。

リスクの個人化、つまり自己責任の比率が大きくなると歳入と歳出の療法が小さくなる。これは小さな政府と呼ばれる。

リベラルは自由主義で、他人の行動や思想を許すことにある。それに対してパターナルは他人の思想や価値観に介入すること。例えばリベラルなら選択的夫婦別姓には賛成のはず。これは個人の価値観に委ねるべきということになる。パターナルは国が定めている以上選択的夫婦別姓には反対する可能性が高い。リベラルは多様性に対して寛容。

日本を国際的に見ると、かなり小さな政府となる。税金は安くGDPに占める国家歳出の割合も小さい。税金が少ない分国は国民にお金を使っていない。1000人あたりの公務員の人数も少ない。よく言われている「日本は税金が高く公務員が税金を食い潰している」というのは冷静な意見ではない。

感想

本文は話し言葉で分かりやすく、説明も筋が通っていて納得できる。説得力のある文章、という感想。特に序盤は政治の基礎の基礎を説明してくれていて、知識の整理や入門には適しているように思った。

著者が自身の専門であるガンジーのことについて長めに書いているのはご愛嬌というところだろうか。ただやはりガンジーの部分で中だるみしているように感じたのでもう少し短い方が良かったように思う。

序盤では右派と左派についてフランス革命などの歴史を紐解きながら説明されていた。書かれていたのは、他人に理性や合理的な行動を期待するのが左派で、そうではなく過去の歴史から叡智を得るのが右派という解釈で、なるほどなと思った。

自分が思っている「日本にいる殆どの人間は偶然日本語に聞こえる鳴き声を発する猿」という考えは人間の理性に対して疑問を呈するものなので右派になるのだろうか。

自分は基本的には自分の見える範囲だけが充実していればいいという考え方。なので生活保護の充実とかは気にしない。消費税増税も家計に余裕がないわけではないからさほど気にならない。

ただ、小さな政府で税金が少ないことが好ましいというわけではない。軍事費には使ってほしい。ただ、これは自衛官の知り合いが多いからここも見える範囲としているだけかも。日本の医療制度にも満足しているし。

最後は「もっと意識して日常を過ごすことで政治問題にたどり着く」という結論になっている。見えない遠くの物事を見るのではなく、手元の物事を近くで見るのが重要なのか。ネットニュースで遠くで起きた殺人事件の犯人に怒るよりも10円値上がりした野菜の値上がり理由を考えることが重要。同意。

NHK出版 学びのきほん」シリーズは短くまとまっていて他も読んでみたい。専門家が書いた同人誌、というノリの本だと考えるのが丁度いいのかもしれない。

2022年4月読んだ本

漫画、小説、技術書。漫画は全巻読んだものか新刊を買ったもののみ。中途半端に読んだものは含めていない。

  • [漫画] それでも町は廻っている
  • [漫画] 転生したら剣でした (11)
  • [技術書] 内部構造から学ぶPostgreSQL 設計・運用計画の鉄則
  • [漫画] 33歳独身女騎士隊長。第151〜156話
  • [漫画] JKハルは異世界で娼婦になった5巻
  • [漫画] タコピーの原罪 下
  • [漫画] メスガキのいる喫茶店1
  • [小説] 滔々と紅
  • [小説] ぼくのすきなせんせい
  • [小説] 小隊
  • [漫画] 初恋、ざらり
  • [小説] 藻屑蟹
  • [小説] プラナリア
  • [技術書] 失敗から学ぶRDBの正しい歩き方

[漫画] それでも町は廻っている

良かった。台詞回しが好きなものが多い。小学生コンビの恋愛模様が一番の見どころかもしれない。アプリで読んだから手元に残ってないけど読み返したくなったらKindle版買うかもしれない。

[技術書] 内部構造から学ぶPostgreSQL 設計・運用計画の鉄則

ある程度運用経験のある人向けの本。説明不足が多い。マテビュそのものの説明はあるけど具体的なユースケースにはほとんど触れられていなくて分かりにくい。バキュームなど、突然初出の単語が出てきて知ってること前提で進む。

ドキュメントをそのまま日本語にしただけのような本。細かいことだけ説明されても仕方ないし、細かすぎて運用で役に立つ知識は少ない。PostgreSQLクローンを作ろうとするときには役立つかもしれないけど、実運用上で役立つ知識は少ない。

パフォーマンスチューニングとかボトルネック調査とかそういう即物的なものは書かれていない。

また、重要な部分は太字、とか強調がないのも分かりにくさを助長している

重要そうな部分だけを概要や一般的な説明、実用例などを含めて説明してくれていたら良本だったのになあ。

第8章はいいかも?具体的なユースケースはもっと欲しいのだけど。

そもそもRDSなんかのクラウドサービスからpostgres使う場合はあまり意識することないことが多い。

[漫画] 33歳独身女騎士隊長。第151〜156話

細々と続いてくれているアホくさ激おもろ漫画。今回の話は起承転結で言うと起の部分っぽい。「ドスケベ・ザ・エッチセックス空間」の語感が良すぎて仕方ない。

[漫画] タコピーの原罪 下

話題作、完結。例に漏れず私もジャンプ+で毎週読んでいた。

これほどまで毎週鬱展開を持ってくることができるのか、とウキウキしながら読んでいた。ジャンプ+は1話ごとにコメントも読めて面白いよね。邪悪なドラえもんって言われてるの笑った。

話の途中で登場人物が誰も幸せにならないのがいい。でも最後はみんなが"ハッピー"になる終わり方をしていて読後感は良かった。正直全てが最悪になる胸糞エンドでも良かったけど。

結局東くんはしずかちゃんと知り合わない方がベストで、最後に3人仲良くハッピーエンドじゃなかったというのがとても良かった。このエンドはかなり評価が高い。

[漫画] メスガキのいる喫茶店1

中野ブロードウェイの本屋で見つけてその時はスルーしたんだけどどうしても記憶に残ってしまい帰ってからKindleで買ってしまった。タイトル見た時クスッとしてしまった。

[小説] 滔々と紅

asmsuechan.hatenablog.com

[小説] ぼくのすきなせんせい

大藪春彦新人賞を受賞した短編。本当に短かった。

家出した主人公が怪しい男の車で函館まで送ってもらう話。主人公は女かと思ったら男だし怪しい男は殺人犯疑惑あるしで、終始不穏な空気。いつ何が起きてもおかしくない緊張感があった。

[小説] 小隊

asmsuechan.hatenablog.com

[漫画] 初恋、ざらり

結局ラストは幸せに結ばれて終わり、というのは作者が自分の理想や願望を描いたのかな。それはそれでいいと思っている。

似た構成のアスペルカノジョとは違いかなり健常者寄りに描かれている。作中に軽度であることは明言されていたが「発達障害持っていてもあなたと同じ人間です」を言いたい意図もあったのかな。

可哀想な女の人は母子家庭で母が水商売をしている、ってタコピーの原罪のしずかちゃんも同じ設定だったな。障害を持っていることと「可哀想である」ことは結びつけてはならないことのように言われがちだが、この作品では可哀想に見えるよう、理不尽に抗ったり苦労しているように見えるように描かれている。

[小説] 藻屑蟹

asmsuechan.hatenablog.com

[小説] プラナリア

asmsuechan.hatenablog.com

[技術書] 失敗から学ぶRDBの正しい歩き方

asmsuechan.hatenablog.com

まとめ

今月一番楽しめたのはそれ町かな。

技術書もう1冊読みたかった。ビジネス書も月に1冊は読みたい。

失敗から学ぶRDBの正しい歩き方 / 曽根 壮大

  • 著者: 曽根 壮大
  • 読了日: 2022/04/29
  • 出版日: 2019/02/27

読み返したい章

  • 2章: 失われた事実
  • 4章: 効かないINDEX
  • 5章: フラグの闇
  • 10章: 転んだ後のバックアップ
  • 16章: キャッシュ中毒

感想、まとめ

例が分かりやすくて想像しやすい。想定するレベルはDBを使った簡単なアプリケーションの構築経験+多少正規化などもしたことがある、という程度だと思う。「レプリケーション」「外部キー制約」とかの単語を聞いたことがある、というのが最低条件?

ただ、DB使ってWebアプリケーション作ったことある人だったらだいたい理解している内容だった。正規化はしようね、とか制約は使おうね、とか監視はしようね、とか。前提知識としてRDBを使った経験が求められていそうなのにも関わらずベストプラクティス的な、初歩を説明しているのでターゲットがイマイチ分からない。日頃RDB触っている人は言われずとも実践していそうだし、触ってない人は門前払いを食らいそうな内容だし。

ベストプラクティスを知り、ベストプラクティスに従う。が一番大事なこと。

以下読みながら書いたざっくりとしたまとめ。推敲なし。

1章

1章の例、想像できたり見に覚えがあったりする部分が多いのでよい(?)

一度雑な設計をしてしまうと割れ窓的にその設計が他でも使われ始めてそのうち身動きが取れなくなるからコツコツと直しながら進もうね、という話。

2章

要約 履歴が必要なデータかどうかの見極めはしっかりすべき。

「今ある事実のみを保存してしまうと過去の事実を失ってしまう」イミューダブルにデータを保存すると変更履歴が残って嬉しいよね。

履歴いらないと思って設計するとあとから履歴ほしいと思った時に無いものは無いので遅延レプリケーションやログをElasticsearchとかに投げるなどしておくと良い。

3章

各種JOINの説明の図、今まで見たものの中でもすごく分かりやすい。

JOINの処理は対象テーブルが増えれば増えるほど急激に重くなるけど、INDEXを貼れば軽くなる。

JOINのアルゴリズムには3種類あって、MySQLは1つしかサポートしてないけどPostgreSQLは他のアルゴリズムもサポートしている。そのためPostgreSQLは大きなテーブルのJOINや不等号を使ったJOINが得意。

マテビュ、自分で使ったことがまだない。ちょっと調べてみる。いやよく考えたら使ったことあった。

4章

実行計画、見たことない。

BTree INDEXを使った参照の仕組みが簡単に書かれている。分かりやすい。

INDEXは検索結果がテーブルの20%未満、対象テーブルが数万から数十万行と十分大きいこと、という条件でなければ使用されない。知らなかった。

条件句にも注意が必要。WHERE age*10 > 100ではINDEXが使われない、

age > 100/10なら使われる。へー。

こういうのもINDEXを使えるようにするため、PostgreSQLには式INDEXというものがある。

LIKE検索では前方一致(LIKE ‘hoge%’)でしかINDEXは使われない。後方一致したいのであれば保存時にreverse()をかけるなどの工夫が必要。

RDBMSは「今のデータ情報をサンプリングした統計情報」をもとにオプティマイザが判断しています。』p52

WHERE狙いのキー、ORDER BY狙いのキー、というスライドがいいらしい

5章

ブログ投稿システムがあるとする。ユーザーにも記事にも削除フラグが使われている。現在有効な記事一覧を出そうとするとuserをjoinして削除フラグを見て…みたいなことになる。更新時も削除フラグを変更して追加insertしていくタイプだとタイトルとユーザーIDのユニークキーは貼れなくなる。いろいろ問題がある。

うーん、イミュータブルな追記型設計だと確かにユニーク制約付けられないな。

案として削除テーブルを作る、が書いてある。これもなあ…

状態が削除だけならいいけど更新、予約、下書き、みたいに複数あるとまたややこしい。

うまい解決策は書いてなかった。

6章

ORDER BYは遅くなりがちだからソートする前にwhere使って対象を絞り込むとかした方がよい。

https://use-the-index-luke.com/ja

このサイトがちょくちょく話題に出るけど良さそう。

7章

IDの上二桁に意味をもたせる、医療系のマスタデータにありがちな仕様だな…(確かにifで先頭2桁とかの番号を見て種別を判別するコードがありがち)←公開しないように

あくまでIDじゃなくてコードならいいのか…?

似たようなデータでもテーブルは分けたほうがいいみたい

  • EAV
  • Polymorphic Association

8章

全部JSON型にしてしまうと、変更に対しての柔軟性は上がるが、検索しにくかったり更新しにくかったりする。

9章

強すぎる制約はよくない。早すぎる最適化になってしまうことがある。

データ型の独自定義はよく考えてからする必要がある。データ型の変更には強いロックが取られるため。

10章

バックアップの章。

論理バックアップ、物理バックアップ、PITRがある。

バックアップとっても障害時にあたふたするといけないから普段の素振りが大切。カオスエンジニアリングだ。

GitLabのデータ削除事故の話にも言及してある。

「本番と同様のステージングを定期的に作りなおす」なるほど。よさそう。

DBだけじゃなくてもファイルのバックアップでも同じことが言える。

プラナリア / 山本 文緒

  • 著者: 山本 文緒
  • 読了日: 2022/04/29
  • 出版日: 2005/09/10

あらすじ

「生まれ変わるならプラナリアになりたい」春香は23歳の頃乳がんで右胸を切除した。手術後は快復に向かい退院するが、それからも定期的に治療を続けなければならず体力的にも精神的にも辛い日々を過ごしていた。

恋人の豹介との仲も良好とは言えず病気や態度のことで度々衝突していた。

そんな時、入院中同じ病棟にいた永瀬と偶然再会し、彼女の下で働き始める。最初は何もかも自分と違う美人な永瀬に憧れのような気持ちを抱いていたが、それが徐々に春香のコンプレックスを刺激し身勝手な怒りとして顕れてしまう。

繊細でめんどくさい女性を高い解像度で描いた作品。

感想

登場人物の解像度が高い。感情の機微が見えるし、明文化されていない行動の背景を想像させられる。

主人公の春香はがんになったことで元々あったであろう「被害者でありたい」という欲求が満たされてしまう。

被害者であることにこだわってしまっているので、ある程度快復してもがん患者であることにしがみつこうとする。

他者が怖く、自分が傷つけられるのを怖がっているから被害者ヅラして予防線を貼張っているように見える。他人から見たら非常にめんどくさい。自分と向き合うことも怖がっているので他人から正論で踏み込まれるのも嫌がっている。「自分はがん患者という特別な立場を手に入れたはずなのに気付いたらそれも失って手元に何も残っていない」という状況に気付きたくない。

体型を理由に虐められていたけど長い間改善されなかったのも被害者であることの気持ち良さから抜き出したくないからなのではと思う。

病気のことを理解されたい気持ちと、理解してもらいたくない、特別だと思ってほしいという気持ちが相反している。

他の短編も自分が特別だと思いたい女が書かれていて面白かった。が、やっぱり5篇の中ではプラナリアが一番良かった。

藻屑蟹 / 赤松利市

  • 作者: 赤松利市
  • 読了日: 2022/04/23
  • 出版日: 2019/03/08

あらすじ

主人公はパチンコ屋の店長。

田舎のパチンコ屋で、このままだとこれ以上の出世は見込めないことが予想できて鬱々と日々を過ごしていた。そんな中原発事故が起こり、主人公の住む街に避難民が増えた。避難民は補償金で国から大金をもらっていて、自分たちの町にも羽振りがいい人が増えたことを感じていた。

主人公は彼らが働かずとも大金を手にしているという話を聞き、苛立ちや憤りを覚えていた。そんな時、工業高校の同級生で原発関連の仕事をしている純也から月50万円の仕事の話をもちかけられる。そして主人公は金欲しさにパチンコ屋を辞め、純也の話に乗ることにする。

作業場に赴き、そこで純也から任されたのはオヤジさんと呼ばれる過去30年原発作業員をやってきた老人の世話だった。純也はこのオヤジさんを使って1億を稼げるがその方法はまだ伝えられないと言う。

主人公は、本を借りたり釣りに出かけたりとオヤジさんと交流していくうちに鬱屈した気持ちが氷解していく。

だが純也が伝えられなかった1億円稼ぐ方法とは、オヤジさんを同意のもと自殺に見せかけて殺しその遺書で金を受け取ることだった。

そしてオヤジさんの意志のもと作業場近くの山に穴を掘り、穴の中に入ったオヤジさんに灯油を浴びてもらい火を付けた。大きく動揺する純也を尻目に主人公は1億円のネタであるオヤジさんの遺書を燃え盛る火に投げ込む。

この燃え盛る炎を最後に第一部は終わっている。この後は主人公が自首するところから始まり、さらに大きな流れに巻き込まれながら自分の願いと向き合い行動していく様が描かれている。

オヤジさんの遺書が燃えてしまいオヤジさんの死を利用して金を得るようなことがないと思っていたとき、純也からもっと大きな金を得られるかもしれないとの連絡が届く。

しかし純也は周囲を警戒する余り疑心暗鬼に囚われナイフで刺されて死亡する。そしてその後釜に入る形で今度は主人公が純也のポジションで除染作業員の職長として月500万円という大金を得る。

結局は金なのか、自分はオヤジさんと純也の命を金に変えただけなのでは、という葛藤が生まれ、最後は全てを捨てて逃げようとする。

感想

オヤジさんとの交流で憑き物が落ちたかのように金への執着がなくなった。というかむしろなにか憑いたと言ってもいいほどの豹変ぶり。純也も含めて、登場人物の印象が途中でガラッと変わって序盤と終盤では全く別人のよう。原発作業は人を変える、が言いたいのかな。

この作品あらすじ書くの難しかった。書きたいポイントが多くてうまくまとまらない。かと言って全部書くのはつらい。ノリユキ、関口、榊、マキなどの人物の話をあらすじにまとめようとするも断念。

オヤジさんとの出会いで金への執着が弱まったが、オヤジさんを殺してしまうことで死者だけじゃなくて金にも取り憑かれてしまった。取り憑かれる、というのをもう少し詳しく言うと本文中ではストレスという単語が使われていて、殺人に関わってしまうと一生そのストレスが解消されないとのこと。四六時中頭の片隅に殺した人間が浮かび付きまとわれている感覚。確かに「取り憑かれている」とはそういう状態なのかも。

ラストの、金から逃げようとする展開が少し雑な気がした。あの雰囲気であれば逃げられずバッドエンドを迎えそうなもの。いや、小説的に見れば雑だが現実的に見れば白黒つかない曖昧な感じは正しく思える。最後の丸投げ感が気になった。

最後が少し雑な以外はとても楽しめた。第1部が終わってそこから失速するかと思ったが、第2部からの新しい展開で更に勢い付けられた。第1部は蟹工船を読んでいるときと同じ気持ち、第2部はテロリストのパラソルを読んでいるときと同じ気持ち。第3部は…太宰治か?刃傷沙汰や夜遊びや自殺や金。このあたりから太宰治を思い出した。思い出しただけであって太宰治の作品を読んでる気持ちではないのかも。