本: 坂の上の雲

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読みながら書いた感想等の放流。

あらすじ

明治維新後の日本が日露戦争ロシア帝国を破るまでを書いた小説。司馬遼太郎秋山好古秋山真之正岡子規の3人を中心にこの時代を書いている。が、この3人思ったより登場しないしなんなら正岡子規は速攻で死ぬ。全8巻。

1巻 3人の生い立ちと近代日本の目覚め
2巻 日清戦争
3巻 日露戦争に向かう日本
5巻 203高地陥落、旅順港陥落
6巻 ロシア革命の兆し
7巻 奉天会戦
8巻 日本海海戦終戦

今度坂の上の雲ミュージアム行きたい。

感想

数年前に1巻だけ読んで挫折したがKindle Unlimitedで無料で読めるので再挑戦してみた。長かったが非常に楽しく読めた。

近代日本を作った人間がどのような生涯を送ってきたかが書かれていて、自分の行動に何か取り込めるものはないかな、とか考えながら読んだ。 これは最近就職活動で「夢とは何か」のような質問をされることがままあり、また就職という節目にあたって自分の夢や将来について朧気ながら考える機会があったたためだと思う。

小学生時代、大正以降の歴史がやたら得意ですごく好きだったのを思い出した。小学生時代の嗜好は大人になっても残るらしい。中学受験時代に習った人物がたくさん出てきて「ああ、この人物はこういう理由でこれをしたんだ」のような納得感があった。過去の偉人をストーリーを抜きにして名前と出来事だけ覚えるのにどれほど意味があるのか今更疑問に思った。

文章中当たり前のように「好古はフランス語が堪能である」みたいに出てくるけどこの時代の人たちはどのようにしてどのくらいの期間で語学を身に着けたのだろうか。かなり気になる。そういえば同じ時代を生きた夏目漱石は「とにかく多読や」って言ってるな。以下の文章がそれ。夏目漱石のものらしいけどこのソースが信用できるかは不明。 http://books.salterrae.net/amizako/html2/sousekigendaidokusho.txt

今更だけど明治時代に日本が軍艦を作っているということに驚く。教科書では読んで年号と出来事を知っていたがいざ物語として読むと驚く。明治時代と言えば江戸時代のすぐ後で、江戸時代といえば鎖国下で工業のこの字も無いような状態という印象。

普段コンピューターという最近発展したものとばかり接しているから実感がより薄まっていると思うけど、恐らくこの時代は自分が考えるより発展している。

たまに説明のために先の展開を書いてくれるのがとても分かりやすい。

1-3巻までは秋山好古秋山真之正岡子規の3人の登場人物の視点を切り替えながらテンポよく進行していたが、4巻の旅順侵攻あたりになって突然テンポが悪くなった。だらだらと場面の転換も少なく戦況説明を延々としているのは退屈。

203高地争奪戦では組織において現場を見る重要性と専門家が判断を下すことの危険性についてのアンチパターンが書かれていた。 失敗から学ぶことの重要性 5巻途中ではロシア軍のことよりも日本陸軍内部に関する記述が圧倒的に多くなっていることからも状況は内発的な要因に大きく左右されうることが伺える。

日露戦争時代のロシア帝国は官僚化しきっていて、組織のことより自身の将来を案ずる人間が増えてしまったのが問題だった。司馬遼太郎も文中で何度か「目前の日本軍ではなく帝国内の政治を意識していた」のように書いていた。

この小説、同じことを何回も書いてくれて非常にありがたい。登場人物が多いからか「こう書いたのは以前述べた」みたいな記述が多い。

失敗の本質とかでも言われてるけどやっぱ一番重要なのは情報力っぽい。日露戦争の頃はもちろんインターネットはない。でも日本は良い無線機使っててそれも勝利に一役買ったとか。

6-7巻あたり、戦況の描写をダラダラされると結構読むのがしんどい。こういうのは絵があればすぐ分かるだろうと思う。

日本海海戦の描写は(そもそも海戦自体長い時間ではなかったからだと思うが)綺麗にまとまっていて非常に読みやすかった。

まとめ

いかに現実社会が倫理と感情で成り立っているかが分かる。それを踏まえた最適解を取って社会を保とうとするのが政治。知らんけど。

ロシア帝国は皇帝らの気分的な判断により現状把握を間違えた上に、各官僚の目指す最適解も社会ではなく自分を向いていたために自浄作用も働かず腐った結果革命が起きた。知らんけど。