本: Winny 天才プログラマー金子勇との7年半

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読みながら書いた感想の放流

概要

金子勇の弁護士を務めた著者のブログ Attorney@law を書籍化したもの。

金子勇が無罪を勝ち取るまでの闘いが弁護士視点で書かれてる。面白くて一気に読んでしまった。

感想

 人は最初、それは誤っていると言い、
次に、それは無理だと言い、
そして、それは誰でもできたと言う。

しかし、何かを成し遂げるのは実際に何かをした者だけである。

P2Pは少し昔のインターネットを知るオタクからすると憧れの技術という印象がある。

書かれている内容はある程度は正しいのだと思うが警察やマスコミに対する態度などがネットウケしそうな文章になってる。この感想書いた後知ったけどこの本のベースは著者のブログらしい。そりゃネット民っぽい文章にもなる。

幇助が何か、について具体的に書かれていないから解釈問題になる。解釈問題なら都合よくどっちにも倒せる。

ちょうど当時(2000年代)はオタク迫害期2ちゃんねる=犯罪くらいの言われ方をされてた。これも相まってWinnyで情報流出してしまった京都府警のサイバー犯罪対策科に目を付けられた。この時点で「どうしても有罪にする」という結論が決まっていた。そして結論が決まった状態だともう何言っても議論は成立しない。しかし結論が決まっていると「自分は正しい」と強く思い込むことになるので悪意のあった人は恐らくあまりいなかったはず(文中では分かりやすく警察や裁判所が悪意の権化のように書かれていたが)。

技術の世界では「技術そのものが好きなオタク」と「技術によって描く未来が好きなオタク」の2種類は別種であると思っていて、金子氏は前者。前者の作るものは技術的検証であって明確な大義名分がある事は少なそう。

つっても2ちゃんのダウンロードソフト板で作るって発表されてそれでアングラ用途が完全に無いって言うの難しいのでは、とも思う。開発者にとって一番楽しいのは自分がユーザーとして使ってて楽しいものを作ってるときのはずだし何かしら技術以外の意図はありそう。

まとめ

この本は弁護士という極端な立場(絶対に無罪であるとしか答えられない立場)から書かれているのでこの本だけで善悪を0か1かで判別しようとするのは危険。