INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント / マーティ・ケーガン

  • 読了日: 2022/05/07
  • 出版日: 2019/11/01

読み返したい部分

  • Chapter7: リーンとアジャイルを超えて
  • Chapter25: 製品ビジョンの減速
  • Chapter 31: 製品に関するエバンジェリズム
  • Chapter 39: 顧客発見プログラムのテクニック
  • Chapter 61: ステークホルダーを管理する
  • 第5部: 成功するための文化

読み返すときは↑のChapterとマーカー部分を読む。

どんな本か

「本書は、プロダクトマネージャーを対象にしたものだ。」と明言されている本。しっかりターゲットを明言してくれているのには好感がもてる。

書かれているのはPdMとして開発チーム(≠エンジニアチーム)を率いるための検証方法やチームについて。

「読んですぐ効く」類のテクニック紹介本ではなく、冒頭にも書かれているがPdMの役割を根本から説明している。なのでテクニックを紹介した本や記事と一緒に読むといいかもしれない。

読むと良さそうな人

ソフトウェア(ハードウェア)エンジニア、UI/UXデザイナーなどIT製品の開発に携わる人。

ただ、ある程度大きな組織(特にメガベンチャーなど)に属してアジャイルスクラムを駆使してIT製品を作っている人だと前提知識もある程度あるだろうし、読んで身になる本だと思う。つまり人が2人しかいないスタートアップみたいな組織だと書かれている原則はあまり有効ではない。このフェーズだともっと他の筋力の方が重要になってくる。

プロダクトマネージャーになるつもりがなくてもPdMと一緒に仕事をするのであれば知っておいたほうがいいことが書かれている。よいメンバーでいるためには他のロールの人を理解する必要がある。

まとめ

リーンやアジャイルを標榜するもMVPが待てど暮せどできないし売れるかもわからないような現場はままある。これはアジャイルではない。では優れた開発チームではどんな事をしているのか。これには3つの原理がある。(1)リスクは最初に潰す。売れるか?できるか?使えるか?法的に出せるか?など。(2)製品の定義とデザインを強調させて行う。(3)実装することではなく問題を解決することが大事。(Chapter7より)

「プログラミングの技術を身に付つけるのは、(中略)エンジニアとうまく関わり、エンジニアと協力する能力を大きく向上させるためである。」大事。これはエンジニア側にも言えて、リーダーシップやマネジメントを理解し歩み寄ることはチームで働く上で必要。よりよいメンバーであることは他のロールを理解することで生まれる。

製品ビジョンを考える上での原則(Chapter25)はプロダクトの未来を考えるうえで意識すべき項目がうまくまとまっている。ここは訳者後書きでも言及されていた。

Chapter31、「製品に関するエバンジェリズム」、モノづくりにおける夢のある話の大事さが書かれている。ここでまとめられている内容がPdMに重要な心構え概略、のように見える。ここを頭に入れるだけでもPdMとの関わり方は良いものになりそう。

Chapter39のリファレンスカスタマーの節、最初の協力的な顧客を見つけることについて書かれている。ここが成功すれば最初の軌道には乗りそう。「このプログラムのために4つか5つのリファレンスカスタマーを集めることにすら苦労しているなら、あなたはそれほど重要ではない問題を追いかけている可能性が高く、ほぼ確実にその製品の販売はうまくいかないだろう。」(Chapter39より) Burning needsの話がこれ。

「ある人をステークホルダーと見なすかどうかの実際的なテストの1つは、拒否権を持っているかどうか、言い換えれば、開発チームが仕事をスタートするのを妨げられるかどうかである。」Chapter61より。なるほどね。

第5部は良い開発チーム・悪い開発チームとは何かについて書かれている。多くは語らないが分量も少ないのでたまに読み返したい。良いチームの一員であるための自分の行動を考えるきっかけになる。

感想

「成功するプロダクトマネージャーは、飛び抜けて頭がよく、創造的で、粘り強い人間である。」って書いてあったのは笑った。一般的に相当優秀な人やんこれ。

今の自分のフェーズ的に、Part2のチームビルディング関連の話はあまり刺さらなかった。

本の文量について、もう少し短くまとめられるのでは?と思う。海外の(英語で書かれた)ビジネス書はくどいし長いしエッセンスがぼんやり散らばりがちだと思う。1度通して読むときにまた読みたい部分をメモ、そこは何度か読む。あとはネットで見つけた要約とか読書メモを読めば良さそう。通読は年1で十分。

有名な本なのでネットでいろんな人がエッセンスだと感じた部分を探すと吸収しやすそう。

自分が感じた最初に読んで感じたエッセンス: 「問題を発見したらとにかく早くユーザープロトタイプを作るかインタビューするか何かしてニーズを見極めるのが一番大事。データを集めればそれがそのまま説得力になる。」それはそうという感じだが、この本には左の「プロトタイプを作るかインタビューするか何かして」つまり事業実現性のテストの部分が詳しく説明してある。

最近の仕事で新規サービスのチームと関わっていたので刺さりどころが多かった本。「じゃあどう活かすか?」は複数回読んでから考えるところということで。